こんにちは。
「りかれんとぱーく」のナビゲーター、Nikoです。
あなたは「独学なんて、ごく一部の人だけがするもの」と思っていませんか?
たとえば、すごく忍耐強い人や、孤独を愛する人。
あるいは、学費を全然かけたくない人や、趣味でのんびり勉強したい人。
でもこれからの時代は、すべての社会人に独学が必要となると私は考えています。
そう考える理由は次の4つです。
- 変化への早急な対応を迫られるから
- 主体性が求められるから
- リベラルアーツが重要になるから
- 環境を言い訳にできないから
ひとつずつ検証していきましょう。
この記事を読むと、今日からすぐに独学を始めたくなりますよ。
(この記事で言う「独学」とは「社会人が学校(大学や大学院、専門学校など)に入学しないで勉強すること」を指します)
- すべての社会人に独学が必要となる4つの理由
- 自分に合った独学法
理由1
変化への早急な対応を迫られる
変化の波に乗れるか
どんな時代でももちろん変化は起こっています。
それは歴史が物語っていますよね。
でも、ここ20~30年までとこれからとでは、違う点がひとつあります。
それは、私たち一人ひとりが早急な対応を迫られているということ。
ここ20~30年の時代の変化は、流れに乗りさえすればそれなりについていけました。
コンピュータによる自動化やインターネットの普及で生活は変わりましたが、少しずつ慣れることができています。
仕事のスキルも、同じ職種を続けながらアップデートしていけばそれで良かったのです。
みんながスマホを持てば自分もスマホを持ち、みんながSNSをやれば自分もやる。
とりあえず流れには乗れてるな、と大半の人が感じているのではないでしょうか?
しかし、いま訪れつつあるのは「流れ」というより変化の「大波」です。
この波に乗れるか、それとも翻弄(ほんろう)されるかで将来が大きく変わるのです。
対応が必要な変化とは、主に次の2つです。
- IT技術の急速な進歩により、産業構造が大きく変わる
- 寿命が100歳ぐらいまで延び、現役で働く期間が長くなる
どちらも最近よく耳にすることですよね。
つまり、IotやAI、ビッグデータなど、IT技術の進歩によって産業構造が変わり、私たちの働き方や生活がさらに変化していきます。
この変化は、ChatGPTなど生成AIの登場でますます顕著となり、加速しています。
同時に、医療の進歩で寿命が延び、70歳以上でも働かないと生活できなくなるというのです。
私たちがやらなければならないこと
ではこの変化の中で、私たちが迫られている早急な対応とは何でしょうか?
それは、新しい産業構造に合わせて 第二、第三のキャリアを考えること。
そして、
第二、第三のキャリアを考えるために必要になるのが、リスキリングを含めた「学び直し」です。
リスキリングについてはこちらの記事で詳しく書いています。
学び直しが必要な理由は2つあげられます。
- 身につけた知識や技術がどんどん陳腐化し、役に立たなくなるから
- 一つの専門分野の知識やスキルだけでは不十分になるから
現代の合言葉“人生100年時代!”の火付け役ともなった『LIFE SHIFT(ライフシフト)』(2016年 東洋経済新報社)では、「一つの専門分野の専門技能を習得するだけでは、長い勤労人生を通して生産性を維持できない」と示唆しています。
また、『東大教授が教える独学勉強法』(草思社)や『Unlearn(アンラーン)』(日経BP)の著書である柳川 範之氏は、2013年発行の『日本成長戦略 40歳定年制』(さくら舎)の中ですでに「人生三毛作」という言葉を用い、「学び直しとスキルの再構築」を提唱しています。
リクルートマネジメントソリューションズのサイトに、柳川 範之氏への2013年のインタビュー記事が掲載されていますので、興味のある方はご覧ください。
では、何を学べばいいのでしょうか。
残念ながら、万人に合う正解はありません。
人によって、興味や能力、価値観、さらに置かれている状況が全然違うからです。
「これからはやはりIT分野が強い」と言っても、誰もがプログラマーやWebデザイナーを目指せばいいというわけではありません。
「人間にしかできないことが有利」だからと、誰もが心理カウンセラーを目指しても、需要がなければ仕事には結びつかないでしょう。
第二、第三のキャリアを見つけるためには中長期的な視点と試行錯誤が必要です。
最終的には大学や専門学校に入って学び直す、という選択になるかもしれません。
けれども、その決断に至るまでにも、独学で学べること、学ぶべきことはたくさんあるはずです。
時間や費用を効率的に使って、すぐにでも始められるのが独学のメリットです。
第二、第三のキャリア目標が明確に決まっていなくても、独学ならあれこれ試しながら学ぶことができます。
興味のある分野の本を読んでみるのもいいし、「理由4 環境を言い訳にできない」で紹介するようなオンライン学習サービスを単発で利用してみるのもいいでしょう。
独学という行動を起こせるかどうかが、最初の分かれ目になるかもしれません。
理由2
主体性が求められる
副業や投資の人気が高まっている
最近はブームと言っていいほど、副業や投資が人気です。
FinTeck※1やFIRE※2などの話題もあちこちで見聞きするようになりました。
※1FinTeck(フィンテック)は、 Finance(金融)とTechnology(技術)をかけ合わせた造語で、ITを活用した新しい金融サービス。
※2FIRE(ファイヤー)は、経済的に自立し、早期リタイアすること。
貯蓄や財テクへの関心は、何も最近始まったことではありません。
将来の年金受給額に期待できないことがわかり、老後資金2000万円発言なども影響して、
老後の資金作りをしようという機運は以前から高まっていました。
そこへ新型コロナや雇用不安定による先行き不安感が重なり、さらに拍車がかかったのでしょう。
副業は、コロナ禍をきっかけに在宅時間が増えたことからも人気が高まっています。
また、20~30代の若い世代でFIREを目指す人が増えていることも、人気の背景にありそうです。
政府も、企業が副業や兼業を促進するためのガイドラインを出したり、国民に投資を推奨するような政策を進めています。
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(内閣官房ホームページ)
これには賛否ありますが、いずれにせよ、自分の将来は自分で考えなければならないのは間違いなさそうです。
自己責任の行動には勉強が必須
しかし、これらの「副業」「投資」人気に乗じて、高価な商材を買わせる詐欺まがいのビジネスも増えています。
つい先日も、アフィリエイトで簡単に稼げるという広告を見て、教材購入に50万円支払ったという詐欺被害の話がニュースで報道されていました。
だまされないためには勉強が必要ですが、学びたい気持ちにつけ込んだ高額の投資セミナーなども多いので要注意です。
たとえば、最初は数回の無料動画などで投資の魅力をアピールし、基本知識や利用者の成功体験などをまとめた分厚い資料を無料でダウンロードさせたりします。
そして、視聴者が興味を引き付けられた頃合いで、「ここから先は当社だけのオリジナルメソッド」などと売り込み、数十万の高額セミナーに誘導するなどのパターンです。
大手証券会社の投資セミナーや個別相談などを利用する場合も、事前にできるだけ自分で勉強しておくことをおすすめします。
詐欺ではなくともやはりビジネスですから、顧客の利益だけを考えてくれるわけではありません。
もちろんプロからしか学べないこともありますが、自己防衛のためにも、できる限り独学で知識を習得することが必要です。
主体性を持って学んだ人だけが、副業や投資でお金を稼げるということですね。
わかりやすくて大人にも役立つ
金融庁の「高校生のための金融リテラシー講座」
高校生向け授業動画・教員向け解説動画:金融庁
理由3
リベラルアーツが重要になる
リベラルアーツとは?
リベラルアーツという言葉を聞かれたことはあるでしょうか?
経営者やビジネスパーソン向けのリベラルアーツ関連本も多数出版されているので、ご存知の方も多いと思います。
リベラルアーツは「教養」と訳されることが多いのですが、本来は「リベラル=自由」「アーツ=学問・技術」という言葉の通り、「自由のための学問」や「自由のための技術」という意味です。
古代ギリシャ・ローマ時代の自由7科が原型だと言われています。
その時代に、奴隷としてではなく自由に生きるための学問だったのです。
自由7科
(3学+4科)
3学 文法学 論理学 修辞学
4科 算術 幾何学 音楽 天文学
現代のリベラルアーツは特にどの科目と決まっているわけではありません。
哲学、文学、美術、音楽、心理学、歴史、宗教、経済、自然科学など、いわゆる大学の一般教養で学ぶような学問を指すことが多いようです。
では、なぜこれからはリベラルアーツが求められるようになるのでしょうか。
リベラルアーツを学ぶ意味
『ビジネスエリートのための!リベラルアーツ 哲学』小川仁志(すばる社)では、現代のビジネスパーソンにリベラルアーツが求められる理由について次のように書いています。
「複雑で変化の速い環境において、新しい価値を作り出し、リーダーシップを発揮していくためには、これまでとは異なる知識や能力が求められるから」
英語やIT、会計などの従来型の知識はAIに取って変わられる可能性が高く、フレームワークやロジカルシンキング、戦略やマーケティングの手法なども、大胆な発想やイノベーションは生み出しにくい。
「そんなときに威力を発揮するのが(中略)確かな知識とそれをベースにした強靭な思考力」であり、それが「教養=リベラルアーツ」だと著者は言います。
また、『自由になるための技術 リベラルアーツ』山口周(講談社)では、いま求められているリベラルアーツをコンピュータのOSにたとえ、「私たちの行動や判断を司るソフトウェアのような根本思想」だと説明しています。
OSであるリベラルアーツに対して、ロジカルシンキングやマーケティングなどの知識はアプリ、つまり「状況に応じて使い分ける道具」であり、従来の「教養」と言われるものも一種の道具としてのものが多かったといいます。
上図は『自由になるための技術 リベラルアーツ』をもとにりかれんとぱーくが作成
さらに、同じ山口周氏の『知的戦闘力を高める 独学の技法』(ダイヤモンド社)では、「リベラルアーツは知的生産の武器になる」として、次の5つをあげています。
- イノベーションを起こす武器
- キャリアを学ぶ武器
- コミュニケーションの武器
- 領域横断の武器
- 世界を変える武器
それぞれの内容は非常に説得力があるので、ぜひ書籍を読んでみてください。
リベラルアーツは独学に向いている
日本の大学でも、様々な学部でリベラルアーツを取り入れるところが増えています。
リベラルアーツという名前のついた学部や学科もあります。
これからは間違いなく、リベラルアーツを学んだ人材が必要とされるでしょう。
とは言え、社会人がリベラルアーツを学ぶために大学に入り直すというのは、ちょっとハードルが高いですよね。
すぐにキャリアアップにつながるものではないし、履歴書に書けるような資格を取るためのものでもありません。
でも心配は無用です。
リベラルアーツは独学に向いている学問なのです。
先に紹介した『知的戦闘力を高める 独学の技法』では、リベラルアーツについてかなりのページが割かれていますが、大学を卒業した後にリベラルアーツのような広範な領域の知見を得るには、独学以外に頼るすべはないといいます。
また、『リベラルアーツの学び方』瀬木比呂志(ディスカバー・トゥエンティワン)でも、日本の大学では本来の意味でのリベラルアーツを学ぶことはできず、基礎的教養を本当に自分のものにするためには独学が必要だと主張されています。
この項の最初で紹介した『ビジネスエリートのための!リベラルアーツ哲学』小川仁志(すばる社)は、著者があらゆる学問の基礎だと考えている「哲学」を中心に、リベラルアーツについて解説している本です。
著者によると哲学はリベラルアーツの中でも特に独学向きで、その理由は「頭だけあればだれでもすぐに始められる。考えればいいだけだから」
もちろん、頭で考える前に本を読むことも必要でしょう。
そうです。リベラルアーツは今すぐ、本1冊からでも学べます。
まずは、これまで紹介したような「リベラルアーツとは何か」や「リベラルアーツの学び方」がわかる入門書からトライしてみましょう。
リベラルアーツを動画で学ぶなら、著名な専門家による4000本以上の講義動画が見放題の「テンミニッツTV」がおすすめです。
「1話10分で知識・教養が身につく大人のための教養講座」というキャッチフレーズ通り、哲学・思想や文化・芸術から、科学技術、ビジネス・経営まで幅広い教養科目を10分単位の動画で学べます。
有料ですが、31日間の無料お試しが利用できます。
理由4
環境を言い訳にできない
オンライン学習の機会が急増
10年前なら、独学はメリットよりデメリットの方が多かったかもしれません。
しかし、オンライン学習の機会はここ10年ほどの間に急速に広がってきています。
たとえば、世界中の有名大学の授業を無料で受けられるMOOCs(ムークス 大規模公開オンライン講座)は、2008年にアメリカで提唱され、2011年頃から各国に広がり始めます。
日本では2013年にJMOOCが設立されました。
日本でも利用者の多い、世界最大級のオンライン学習プラットフォームUdemy(ユーデミー)がアメリカで始まったのは2010年です。
生放送の双方向授業に無料で参加できるSchoo(スクー)は2011年、プログラミング学習が無料で始められるprogate(プロゲート)は2014年に、それぞれ日本でスタート。
また、自習学習の管理や共有ができる学習プラットフォームのスタディプラスは2010年の創業です。
オンライン学習 サービス | 開始時期 |
MOOCs | 2008- 2011年 |
Udemy | 2010年 |
Schoo | 2011年 |
JMOOC | 2013年 |
progate | 2014年 |
そこから約10年。
それぞれカリキュラムも充実し、講座数や利用者数も増え続けてきました。
このような、無料もしくは低価格で簡単に利用できるオンライン学習は、これからもますます普及していくでしょう。
同時に、「独学は難しい」というハードルを下げ、「孤独で地味」なイメージから、「おしゃれで最先端」なイメージに変わってきています。
このことから、年齢や環境を問わず、独学で勉強を始める人が激増することも予想されます。
独学で積極的に学ぶことがごく当たり前になっても不思議ではありません。
忙しい社会人もコスパ良く手軽に学べる
さらに、本や参考書はもちろん、語学学習の音声教材などもネットで瞬時に入手できる時代です。
もちろん、社会人が知的好奇心に任せてネットショッピングしていたら、お金がいくらあっても足りません。しかし、そこにも言い訳できないシステムが用意されています。
たとえば、amazon1社の利用に限っても、Kindle Unlimitedで本を読み放題、忙しいときはAudibleで「耳読書」し放題。Amazonプライムでは海外ドラマや映画を見放題、prime readingで本も読み放題です。
Audible は今年から聴き放題のシステムになったため、かなりオトク感が増しました。
Kindle Unlimitedも以前は10冊までだったのが、今は20冊までとなっているため、読みたい本はとりあえずキープしておいて、ゆっくり読むことができます。
ちなみに私はこのサブスク3つとも利用しています。
もちろん、読みたい本がすべて対象になっているわけではありませんが、それでも月額3,000円以下の投資で10倍以上のリターンが得られてとても助かっています。
また、スマホやPCで資格取得の勉強ができる有料オンラインツールも人気です。
たとえば、テレビCMでもおなじみのSTUDYing(スタディング)は、中小企業診断士や宅地建物取引士をはじめ、ビジネス、法律、IT、医療など8分野、約30講座以上がラインナップされています(2023年11月現在)。
もちろん、特定の資格や大学の学位を取得するためには、オンライン学習だけでは無理なものもあるでしょう。
実技訓練や設備が必要な分野も、独学では難しいと思います。
しかし、ITやビジネス、語学、リベラルアーツなど、これからの時代に必要となる知識やスキル習得の第一歩としては十分な内容ではないでしょうか。
通学に遠い、学費が高い、時間がないなど、これまでハンディになっていたことがオンライン学習にはほとんどありません。
つまり、環境面のハンディも、独学できない理由にはならないということですね。
まとめ
学びの機会が目の前に広がっているのに、それを利用して独学できる人と、あえて独学しない人とでは、どんどん格差が広がっていきます。
そうならないためにも、本1冊から独学を始めてみてはいかがでしょうか?
- 変化の大波に乗るためには、第二、第三のキャリア探しが必要。
➡ 独学なら長期的視点でじっくり試行錯誤できる。 - 副業や投資は自己責任。
➡ だまされないためにも、独学で主体的に学ぶ必要がある。 - これからは思考力や知的生産力の基礎になる教養が重要。
➡ リベラルアーツは独学に向いている。 - 幅広い分野でオンライン学習の機会が急増。
➡ 独学で積極的に学ぶことが当たり前になりつつある。