キャリアップのために資格を取りたいけど、費用もけっこうかかるし…
専門学校の学費って半端ないわよねー
こんにちは。
りかれんとぱーくのナビゲーター、Nikoです。
社会人の学び直しで大きなネックになるのが学費の問題ですよね。
- 会社から受講料の補助とか出ればいいけど、うちは出ないし…
- 自分の勉強のためだけに、家の貯金を使うわけもいかないし…
- 仕事を辞めて通学したいけど、収入がなくなるから不安…
仕事も家族も大事にしたい社会人ならではの悩みです。
内閣府の世論調査※1では、4割以上の人が、社会人の学び直しには学費の支援が必要だと答えています。
また、厚生労働省の調査※2では、自己啓発の費用を支援した企業の割合は24.6%と、全体の4分の1以下でした。
学費はかかるけど、自分と家族の将来を真剣に考えるからこそ、今、ためらわずに行動したい…
そんなあなたにおすすめしたいのが、教育訓練給付制度です。
名前は聞いたことあるけど詳しくは知らない、という方も多いのではないでしょうか。
キャリアのために資格を取得したい、学び直しでスキルアップしたいという社会人なら、最初にチェックしておきたい制度です。
特に、「専門実践教育訓練」では学費が最大で70%支給されます。
受講に際しては「ジョブ・カード」という書類作成が必要でが、この記事ではジョブ・カード作成のポイントについても解説していますので、ご安心ください。
おトクな制度を賢く活用して、学びの意欲を行動へと変えていきましょう!
- 教育訓練給付制度とは、どんな制度?
- 教育訓練給付の種類
- それぞれの特徴(対象講座や給付金、申請の手続きなど)
- ジョブ・カード作成のポイント
教育訓練給付制度とは
教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した人に対し、その費用の一部が支給される制度。
働く人の主体的なスキルアップを支援するのが目的です。
教育訓練の種類
教育訓練給付の対象となる教育訓練は、レベルなどに応じて以下の3種類があります。
それぞれ対象の講座や給付率が異なります。
対象の教育訓練は3種類合わせて約14,000講座。
オンラインや夜間・土日の講座もあるため、働きながら学び直したい社会人には心強い制度です。
教育訓練給付って3種類あるのね。
全部で14,000講座もあるんだ!
どんな講座があるのかな?
●教育訓練給付の対象となる主な資格や講座は以下の通り
(↓画像をクリックすると、厚生労働省公式サイトのPDFが開いて拡大されます)
自分が受講したい講座が指定されているかどうかは、厚生労働省の教育訓練給付制度[検索システム]で確認できます。
教育訓練給付を受けられる人とは
教育訓練給付って、誰でも受けられるの?
教育訓練給付は正社員だけでなく、パート・アルバイトや派遣労働者の方も対象です。
ただし、雇用保険の加入期間などの条件があります。
給付条件や給付手続きについては厚生労働省のリーフレット「教育訓練給付制度のご案内」にわかりやすくまとめられています。
(画像をクリックすると、公式サイトのPDFが開きます)
自分が要件を満たすかどうかは最寄りのハローワークで相談してください。
それでは3つの教育訓練について、1つずつ詳しく見ていきます。
専門実践教育訓練とは
専門実践教育訓練の対象講座
専門実践教育訓練は「働く人の中長期的なキャリア形成に資するような教育訓練」が対象。「専門実践」という名前の通り、専門的かつ実践的な内容が特徴です。
業務独占資格※1や名称独占資格※2など、専門職に必要な資格を取得するための講座や、専門職大学院の課程などが中心となっています。
※1 資格を持たずに業務を行うことが法令で禁止されている資格。
※2 資格がなくても業務を行うことはできるが、その名称の使用は法令で禁止されている資格。
上の図表2の赤のラインの資格や講座が専門実践教育訓練の対象です。
看護師や介護福祉士、社会福祉士など、医療系・福祉系の資格取得に向けた講座も充実しています。
ITSSレベル3以上のIT関係資格取得講座 、第四次産業革命スキル習得講座(経済産業大臣認定)など、デジタル関連の講座に力を入れているのも特徴です。
専門実践教育訓練には2023年10月1日時点で2861の講座が対象となっています。
受講したい講座が対象かどうかは検索システムで確認できますが、同じスクールのよく似たコースが対象になっていない場合もあります。
給付手続きの前に、スクールへ直接確認することをおすすめします。
専門実践教育訓練の給付金
専門実践教育訓練の給付金は、受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給されます。
訓練期間は最大で3年間となるため、最大で120万円が上限となり、4千円を超えない場合は支給されません。※3※4
※3 10年間に複数回受講する場合、最初の受講開始日から10年経過までに受講開始した専門実践教育訓練の給付金合計額は168万円が上限。
※4 法令上最短4年の専門実践教育訓練を受講する場合は、3年目受講終了時に、10年間の支給上限額168万円に加え、4年目受講相当分として上限56万円が上乗せされる(4年間で最大224万円)。
さらに、資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。
また、失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合には、受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件を満たしたときに別途支給される「教育訓練支援給付金」※5もあります。
※5 令和7年3月31日までの時限措置
この「教育訓練支援給付金」があるのは専門実践教育訓練だけです。
仕事を辞めて受講するなど、失業状態で45歳未満の方はチェックしてみてくださいね。
- 訓練受講中6か月ごと
➡ 受講費用の50%(年間上限40万円)が支給される。 - 資格取得かつ、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合
➡ 受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給される。 - 失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合
➡さらに「教育訓練支援給付金」が支給されることもある。
(受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件が必要)
詳細は厚生労働省のパンフレット専門実践教育訓練の給付金のご案内でご確認ください。
(画像をクリックすると、公式サイトのPDFが開きます)
★制度の内容や対象講座などは随時変更されることがあります。
検討の際には必ず厚生労働省の公式サイトなどで最新の情報を確認するか、最寄りのハローワークにお問い合わせください。
専門実践教育訓練の給付申請手続き(受講前の手続き)は、受講開始日の1カ月前までに行うことになっています。
また、受講手続きの前に「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。
詳しくは「訓練前キャリアコンサルティングについて」の項で解説しています。
特定一般教育訓練とは
特定一般教育訓練の対象講座
特定一般教育訓練は「働く人の速やかな再就職と早期のキャリア形成に資する教育訓練」が対象。
対象講座は2023年10月1日時点で572講座となっています。
専門実践教育訓練よりはかなり少なめですが、業務独占資格や名称独占資格、必置資格などを取得するための講座や養成課程などがあります。
例:介護支援専門員実務研修、介護職員初任者研修、生活援助従事者研修、特定行為研修、
大型自動車第一種・第二種免許、税理士 など。
デジタル関係の講座では、ITSSレベル2以上のIT関係資格取得講座 など。
また、短時間(60時間以上120時間未満)の「キャリア形成促進プログラム」※6や「職業実践力育成プログラム」※7なども含まれています。
※6 専門学校において、企業などとの密接な連携により最新の実務の知識などを身につけられるよう編成した、文部科学大臣認定の課程。
※7 大学などにおける、社会人や企業などのニーズに応じた実践的・専門的なプログラム。文部科学大臣認定の課程。
上の図表2では、緑のラインの資格や講座が特定一般教育訓練の対象です。
特定一般教育訓練の給付金
特定一般教育訓練の給付金は、受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給されます。4千円を超えない場合は支給されません。
- 訓練終了後
➡ 受講費用の40%(上限20万円)が支給される。
詳細は厚生労働省のパンフレット「特定一般教育訓練の「教育訓練給付金」に関する支給申請手続きについて」でご確認ください。
(画像をクリックすると、公式サイトのPDFが開きます)
★制度の内容や対象講座などは随時変更されることがあります。
検討の際には必ず厚生労働省の公式サイトなどで最新の情報を確認するか、最寄りのハローワークにお問い合わせください。
特定一般教育訓練の給付申請手続き(受講前の手続き)は、受講開始日の1カ月前までに行うことになっています。
また、専門実践教育訓練と同様、受講手続きの前に「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。
詳しくは「訓練前キャリアコンサルティングについて」の項で解説しています。
一般教育訓練
一般教育訓練の対象講座
一般教育訓練は「雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練」が対象。
資格の取得を目標とする講座(英語検定、簿記検定、ITパスポート など)や、修士・博士の学位などの取得を目標とする課程(大学院などの課程)があります。
上の図表2の紫のラインの資格や講座が一般教育訓練の対象です。
一般教育訓練の対象講座は10,000講座以上あります。
自分が受けたい講座が対象になっていないか、検索システムでチェックしてみましょう。
一般教育訓練の給付金
一般教育訓練の給付金は、受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。
4千円を超えない場合は支給されません。
- 訓練終了後
➡ 受講費用の20%(上限10万円)が支給される。
詳細は厚生労働省のパンフレット一般教育訓練給付金の御案内でご確認ください。
(画像をクリックすると、公式サイトのPDFが開きます)
★制度の内容や対象講座などは随時変更されることがあります。
検討の際には必ず厚生労働省の公式サイトなどで最新の情報を確認するか、最寄りのハローワークにお問い合わせください。
訓練前キャリアコンサルティングについて
訓練前キャリアコンサルティングとは
「教育訓練給付制度のご案内」にも記載の通り、専門実践教育訓練と特定一般教育訓練は、給付手続きの前に「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。
専門資格を持つキャリアキャリアコンサルタントと面談しながら、職務経験の棚卸しなどで自己理解を深め、受講動機や目標を確認するのが目的です。
「訓練前キャリアコンサルティング」は、専門実践教育訓練と特定一般教育訓練の給付申請手続きの一つになっています。
給付申請手続きは、受講開始日の1カ月前までに行うことになっていますので、「訓練前キャリアコンサルティング」も1カ月前までに受ける必要があります。
通常は予約制で、ハローワーク内の簡易ブースなどで行われます。
訓練前キャリアコンサルティングの費用は無料です。
予約の仕方など、訓練前キャリアコンサルティング申し込みの窓口はすべてハローワークですので、最寄りのハローワークで確認してください。
ジョブ・カードはカードじゃない?
ジョブ・カードって、どんなカードなのかな?
実は、ジョブ・カードはA4サイズのシートなんです。
訓練前キャリアコンサルティングでは、ジョブ・カードというキャリアシートのような書類を使います。
厚生労働省指定の書類ですので、あまり見慣れない方が多いと思いますが、予約した面談日までに自分でできるだけ記入し、準備しておかなければなりません。
カードをもらえるのかと思ったら、自分で書いて作るんだ!
わからないところは相談しながら書けますよ。
職務経験の棚卸しとかできるのはいいよね。
訓練前キャリアコンサルティングで使用するジョブ・カードは、4枚が1セットです。
- キャリアプランシート
- 職務経歴シート
- 職業能力証明(免許・資格)シート
- 職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート
指定の様式を厚生労働省の公式サイト「マイジョブ・カード」から、Excel形式でダウンロードして、パソコンで作成できます。
様式ダウンロードページには記入例も掲載されています。
手書きしたい場合は、ハローワークで記入用紙やジョブ・カード活用ガイド(記入用紙付き)をもらうこともできます。
記入時の注意点などについては、面談日を予約する際の説明に従ってください。
Web予約の場合は、通常は指定の予約サイトに書き方や注意点などの説明があります。
電話予約の場合は、担当者から説明がありますので、それに従うようにしてください
訓練前のジョブ・カード記入のポイント
ここでは、多くのジョブ・カードを見せていただいた私から、「あなたの思いが伝わる書き方」のポイントを3つお伝えします。
- 希望する訓練の受講理由と目標を明確に書く
1枚目の「キャリアプランシート」には以下のことを書きます。
・価値観や興味・関心
・強みなど
・将来取り組みたい仕事(目標)
・目標実現のために取り組むこと
特に、自分が希望する訓練の受講理由と将来的な目標が明確に伝わるように書きましょう。
たとえば看護師の資格取得が目的なら、看護師を志望する理由と、看護師としてどのような仕事をしていきたいか、などを書きます。
MBAやキャリアコンサルタントの資格取得であれば、その資格を取得したい理由と、どのような職場でどう生かしていきたいか、できるだけ具体的に書いてください。 - 「スカスカ」はNG
ときどき、スカスカの文字量で持って来られる方がいます。
各欄に何行以上書かなければいけないという決まりはありませんが、情報量が少なすぎると「学び直したい」というあなたの意欲が伝わりません。
どうしてもこの勉強がしたい、という真剣な気持ちが読み手に伝わるよう、十分な文章量を書きましょう。 - 「ギチギチ」もNG
逆に、小さな文字でギッシリ書いて来られる方もいます。
特にパソコン作成では、小さなフォントで枠いっぱいに記入するとかなりの文字量になります。
熱量は十分伝わるのですが、伝えたいことのポイントが見えづらくなり、逆効果です。
これはあくまで私見ですが、Excelの様式に記入する場合、12ポイントで入力し、内容の切れ目で改行や一字下げをすると、視覚的にも見やすく、内容もまとまりやすいのではないかと思います。
改行するときは、Altキーを押しながらEnterキーを押します。
何を学びたいか決まっていない場合
専門実践教育訓練や特定一般教育訓練の利用は基本的に、学び直しの方向性が決まっている場合です。
訓練前キャリアコンサルティングなど、実際の手続きに入るときには具体的な講座名まで決め、その講座が専門実践教育訓練や特定一般教育訓練の対象であるかどうか確認しておく必要があります。
「訓練の受講を希望しているが、方向性で迷っている」という場合には、訓練前キャリアコンサルティングで「キャリア相談」を受けられることもありますので、最寄りのハローワークで相談してみてください。
まとめ
この記事では以下の内容について解説しました。
- 教育訓練給付の対象になる訓練には、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があり、対象講座や給付率が異なる。
- 教育訓練給付は非正規の労働者も対象。 ただし、雇用保険の加入期間などの条件がある。
- 専門実践教育訓練と特定一般教育訓練では、訓練前キャリアコンサルティングが給付申請手続きの一つになっている。
キャリアキャリアコンサルタントとの面談で、受講動機や目標を確認する。 - ジョブ・カードは訓練前キャリアコンサルティングで使用する書類。 事前に記入しておく必要がある。
- 専門実践教育訓練や特定一般教育訓練の手続き前に、学びたい方向性や講座を決めておく。